NEWS

NOTICE PC PS 2019/03/25 18:00

特別ケース:Part.3


派手な口論が荒野の夜の静寂を破った。
「……クラン同士が裏切るように仕向ける、なんて事は……エンジニアの仕事じゃない」
ダンカンの声はいつもより疲れているようだった。
エンジニア達のことなど気にも掛けていない奴らのことをダンカンが心配している事に、ジョーンズは苛立っていた。
「お前の親切心は俺たちの足を引っ張るんだよ」
ジョーンズがぼやいた。
「俺達が労せずに、より多くの奴らが制圧されればそれに越したことはないだろう?違うか?」
「"制圧"?」
ダンカンが重くため息をついた。
「なんだよ」
「"皆殺し"の間違いだろ」
「何が違う?」
ジョーンズはダンカンを睨みつけた。
「違う!わかってるだろ!」
フォクシーから重いため息がこぼれたが、口論をしている彼らは気付かなかった。
両者の言い分は彼ら自身の流儀において正しいことをフォクシーは知っていたが、
言い争いを始めるべきではなかった。口論はいつも失敗に終わるからだ。

数年前、若いエンジニアの部隊が道中で思いがけず口論になってしまった。
口論が終わった後、全員が後悔していた。その後、部隊は皆散り散りとなり、
その結果、敵からの奇襲に対して無防備になってしまっていた。
その事件によってフォクシーの親友は命を落としてしまった。
フォクシーは今でもその少女に謝れなかったことを悔やんでいる。

「ハッ!ダンカン、慈悲深いダンカン!すべての救世主よ……」
ジョーンズは大声で繰り返し言った。
「……いい加減にして!」
フォクシーは警告するように叫んだ。彼女の手はライフルの銃床に置かれていた。
荒野には暗黙のルールがある。もし誰かが銃を握り、その誰かを葬りたくないのなら、
自分に敵意がないことを示すために心を静めること。彼らはその合図を読み取った。
「ここにいる誰も自分たちの血で汚れたくはないさ」
ジョーンズが機嫌悪く言った。
「でもまずは攻撃を仕掛けなければならないんだ」
すかさずダンカンが反論する。
「ジョーンズ、お前の周りにいる奴らが全員敵な訳じゃない」
「でも敵になり得るわ。リソースがなければ、みんなが私達のことを狙ってくる。ライリーでさえもね」
フォクシーはとても静かに言い、ふと頭を上げ、動きを止めた。
「まったく……私たち言い争ってばっかりで、星を眺めてもいなかったわね……」
ジョーンズは笑い、空を見上げた。
「まるで砂糖の欠片みたいだな。」
「でもダンカンの言う事も正しいかもしれない……」
フォクシーが短い沈黙の後に口を開き、皆冷静さを取り戻した。
「ろくでなしになるか、犠牲者を最小に抑えるか……それとも妥当な報酬を提供するか……
ただ、少なくとも、今日は穏やかに眠ってもいいわよね」
「ああ」
ダンカンは頷いた。肩の力が抜けた。
「もしかしたら俺達の仲間の誰かが敵になるかもしれない。そんなこと知る由もない」
「そのうち分かるわ」
フォクシーは笑顔でたき火から立ち去り、ささやいた。
「バニー、ここの風の匂いがどんな感じかわかる?自由の匂いよ……!」
「ここで休んでから進もう。見張り番は俺がやるよ」
そう言い、ダンカンは車へと戻った。ルーフに上り深く腰掛け、目を閉じた。

寝る前の会話には、今までの緊張感がまだ残っていた。その夜中、仲間が眠りに落ちた頃、
ダンカンは遠くにきらめく異常な光を見ながら、静かに夜明けを待っていた。
翌朝、太陽を象った銅のブレーキディスクのオブジェが、
埃をかぶった草原のでこぼこ道を走り去る3両の戦闘車両を見送った。
ダンカンは汎用無線の周波数が合った時にマップを確認した。
「誰が一番に積み荷を持ってくるか賭ける?」
フォクシーが提案した。
「報酬を約束するわ!」
「何を景品にするんだよ?」
ジョーンズがすぐに応えた。
夜中に箱を見つけたダンカンだけが、にやりと笑った。



Part.1は「こちら
Part.2は「こちら
TOP