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NOTICE PC PS 2019/03/18 19:00

特別ケース:Part.2


ジョーンズが到着した頃、地平線は濃い紫色の雲に包まれていた。
焚き火の横にはフォクシーの車両がまるで番犬が見張りをしているかのように佇んでいる。
ジョーンズは周囲をぐるりと走りながら敵が居ないか確認した後、ドーナツターンで地面に円を描いて車を止めた。 座席から降りて脚を伸ばし、助手席から食料が入ったバックパックを取り出す。 やかんはすでに火にかけられており、燻製肉の芳香な匂いが漂っていた。
ジョーンズの肩に小さな手が掛けられ、振り向くとそこにはフォクシーが居た。
「やぁ、君にまた会えて嬉しいよ。君のその、見えない友達にもね」
「ちゃんと無事で良かったわ」
フォクシーが肩をすくめて笑った。彼女の手には、今は狙撃銃の代わりにパンの袋が握られていた。短いハグの後フォクシーは袋からパンを取り出し、ジョーンズの眼の前に差し出した。
「あなたのために取っておいたわよ」
ジョーンズは彼女のジェスチャーを目で追いながら笑った。
「さぁ、キャンプファイヤーをしましょう!待ちくたびれたんだから。遅刻よね?」
「ダンカンよりはマシだろ!」
「ダンカンは忙しいのよ」
フォクシーは悲しそうに言った。
「彼はまた汚い仕事を引き受けたみたい……これはディナーの後に話しましょう」

二人はしばし静かに食事をした。
ジョーンズは金属のボウルをスプーンでつつかないように必死だった。荒野の一人旅に慣れすぎて、最低限のマナーを守る事すら久しぶりだった。
フォクシーは物憂げにため息をつき、時々背後に向かってクラッカーの欠片を投げたり、時には"それを食べたがらない事"について、何者かに向かってささやき声で叱ったりしていた。
その不思議な一連の動作についてジョーンズは特に気にしなかった。フォクシーの癖については皆よく知っている。

食事が済むと、フォクシーが最初に沈黙を破った。
「全ての人間が命を落とすまで戦う程強くはないわよね?……ダンカンも私もナーバスになっているわ。大多数の人は潮時になったら、きっと戦いを止めるって信じたい」フォクシーは乾いたパンをばらばらに指で割りながら、静かに言った。
「見知らぬ奴に対して同情しすぎじゃないか?」
ジョーンズの言葉が彼の喉から出てきた。
「思いやりがある事は良い事だ。だが俺たちはそんな立場にいない。アイビーがわざわざ俺たちが誰かと友達になるのを手伝っているとは言え、感情は遠く離れたとこに押し込んで仕事に取り掛かるのが最善だ」
「わかるわ。でも心配ないとは言えない。ダンカンは他の人達と比べれば多くの仲間がいる。でも……」
フォクシーは素早く頭を上げ、ジョーンズの肩越しにどこかを見つめていた。
彼女の視線に気が付いたジョーンズは、愛想笑いを浮かべ、しかしフレンドリーに笑った。
「俺たちの美しい騎士が俺の後ろの何処かにいるのか?」
「ええ」
フォクシーは嬉しそうに目を細め、微笑んだ。
「彼がいなくて寂しかったんじゃない?
「まぁ……」
ジョーンズはたき火に薪を足しながら、ニヤッと笑った。
「ほんの少しね!」

遠くからエンジン音が聞こえてくる。徐々にそれは大きくなり、轟きが薄明を引き裂いた。
音の主──ダンカン──は、そうすべきだと言わんばかりに、車をターンさせ地面に円を描き、スパイクを外側に向けて車を停めた。彼らはいつもそうしてきた。
「来てくれてありがとう」
ダンカンは言い、キャンバスバッグを手に、焚き火に歩み寄った。
「未来について一緒に語れる奴らはお前達だけだ」

To be concluded..



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