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NOTICE PC PS 2019/02/28 20:30

特別ケース:Part.1


3台の車両が猛スピードでジョーンズのマシンの周りを走り回っていた。まるで煩わしいハエのように。ジョーンズは車を止め、相手が砂埃を上げ続けるのをやめるまでじっと待つ事にした。

「お前ら、もうたくさんだ!早いとこ終わらせよう。箱は置いていくからさっさと持って行けばいい!」
共通チャンネルの無線を使い、相手に向かって叫んだ。
相手からの応答はない。3台の車両はまだジョーンズの周りをぐるぐると回っている。
「そうかい、じゃあ好きにしろ」
ジョーンズは疲れたように言い、気怠そうに武器を起動した。すると、脅威を感じたのか1台の車両がスピードを落としたが、他の2台はまるで無計画であるかのように、動きを激しくし、戦闘を開始しようとした。
「馬鹿共が」
ジョーンズの口からため息混じりにこぼれる。

この3台の車両との戦闘は、驚くほど単純なものであった。そのため、これらの車両を運転しているのは子供だとジョーンズは考えた。
経験豊富な戦士に挑むには若く傲慢過ぎたのだ。
車両の1台は地面の裂け目に落ち、銃弾の雨に晒され破壊された。もう1台は、狂人のようにジョーンズに突撃しようとしたが、ジョーンズの車両の力を見くびっていたのか、すぐに装甲を剥がされ、簡単に爆発し、残骸が無残にも彼の周りに飛び散った。3台目は、かなり状況が悪いと判断したか、逃げ去っていった。それを見てジョーンズは安堵した。

ことの発端は、助手席にある箱だった。ウラン鉱石が入っている。

逃げていった若きレイダーの姿が遠く消えた時、ジョーンズは車を降り、休憩して息を整えようと、付近の採石場に滑り降りた。水筒に入れた水はお湯に変わろうとしていた。
太陽が空の一番上に昇った頃、ジョーンズはマップを見て、目的地に向かって再び車を走らせた。
車両が岩の上を跳ねる度に、半分破壊されたシールドが車体に当たって金属音を鳴らす。ジョーンズは罵声を吐き、道が舗装された方に車を寄せる。
「ごめんよ、かわいこちゃん。修理したばっかりなのに、また壊されちまった」
まるで恋をしているかのような眼差しでダッシュボードを見やる。
ふとバックミラーに視線を移すと、シートベルトできつく止められたクソ箱が目に止まり、思わず舌打ちをした。

ジョーンズは周りの景色を見て、落ち合う予定のダンカンがなぜここを待ち合わせ場所に指定したのか納得した。
こんな、縄張りの境界線──危険地帯とも呼ばれる──のような荒野には、”死にゆく星の教団”の狂信者か、旅のエンジニアくらいしか足を運ばない。ダンカンはいつも人気のない場所を好んだ。

道のど真ん中で、まだ明るい太陽が地平線の向こうに消えて行く中、戦闘での興奮が冷めてきたジョーンズは思索を巡らせた。今の気持ちをうまく言語化する事ができそうになかったため、頭の中で自問自答してみた。
エンジニア達はドーンチルドレンと本当に戦うべきか?人々の欲望のせいで、また仲間達を埋葬するハメになっても良いのか?
彼の思考は、ラジオから聞こえる高い音によって遮られた。
「ジョーンズ、こちらフォクシー!聞こえる?」
信号にノイズはほとんどない。彼女は近くにいるようだった。
「音声はハッキリ大きく聞こえるぞ、フォクシー。近づいているようだ。何か起きたのか?オーバー」
「まだ生きているか確認したかっただけよ。オーバー」
「ああ、生きているし、最高の気分だ。ダンカンはお前と一緒か?オーバー」
「いいえ、後でくるはずよ。今は、あなたを待っているところ。じゃあ、またね」
「じゃあな」
ジョーンズは、ダッシュボードに手を伸ばしレシーバーのバーニアをねじる。そして”ドーンガジェット”を手に取る。こいつの出番もあるかもしれない。
間もなく前方に狼煙が見え、ジョーンズは微笑んだ。

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