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NOTICE PC PS4 2020/06/23 18:35

蛇のクレードル:Part.3(シグルド)


夜明けと共に目覚めたシグルドは、暗闇に包まれた部屋に視線を向けた後、自分がもう動けないことに気づいた。
人影に取り囲まれた自分を聞き慣れた子供の声が嘲笑っているような気がした。
そして一瞬、このステッペンウルフは過去を彷彿とさせる湿ったカビの臭いを感じた。

しかし、そのような感情は突然無くなった。
足に感覚が戻るのを感じたシグルドは、すぐに立ち上がりシャワーを浴びに向かった。
そして、しばらくの間そこで鏡と向き合った。鼻の真横にでこぼことした傷跡のある巨体が、
ガラスの向こうから彼を見つめていた。

「俺が悪夢を恐れているともし他の連中が気づいても…どうせ気まずくて黙っているんだろうな。バカどもめ…」

シグルドは仲間のことを考え、弱々しく微笑んだ。
彼の弱みがどんなに可笑しくとも、誰一人として笑わないのは幸いだ。

シャワーを浴びた後、再び元気を取り戻したステッペンウルフは風変わりな軽量の装甲を身につけた。
その日は彼が新兵たちを訓練する日だった。

モーニングコールが鳴り、シグルドは心を弾ませながら皆が目を覚まし騒がしくなり始めた基地へと足を踏み出した。
日常的な習慣が適度な助けになることを分かっていた。退屈ではあるが重要な日常の物事に集中することで、
不安を忘れることができた。新兵たちの訓練はその習慣のうちの一つだった。
彼ら全員がすぐに新しい仲間を受け入れられるわけではない。決して簡単な仕事ではないのだ。

まるで要塞自体が不安を巧みに処理しているようだった。
これといった物はない…滑らかな壁に囲まれた真っ直ぐな廊下、装甲が施された障壁から解放された窓、
そこから太陽の光が差し新鮮な空気が流れ込んでいる。そして、一歩進むたびに石の反響音が僅かに聞こえてくる。
スタールから個人的に受け取ったメモを取り出し、シグルドはもう一度新兵たちの個人ファイルに目を向けた。
取調室の薄明かりの中でさえ、陰鬱とした外見のはぐれ者たちの存在がちらついた。

— 案ずるな、諸君。
シグルドは考え深くつぶやいた。
— もう独りで戦う必要はない。

心の奥底のどこかに鈍い痛みが走り、ステッペンウルフは目を閉じた。
先日の奇襲で仲間を失い、その時に負った心の傷はまだ新しかった。
残念なことに、日常の習慣ではこの喪失の痛みを癒すことはできなかった。
次々と行われる訓練と戦闘任務の方がよほど癒しになった。
シグルドは要塞の外壁の裏にある運動場へと向かった。
そこで、彼は新人たちを待ち受けるはずだった。
しかし、現れたのは使者だった。

— 司令官が呼んでいる。緊急の極秘任務だ。

待ち望んでいた心地よい穏やかな朝は、不安の中へと消え去った。

— 了解。
そう答えた自身の声の重々しさに彼は気づかなかった。

これからドーンチルドレンを訪れ旧世界の旧友と会うことになろうとは、その時のステッペンウルフには知る由もなかった。
唯一彼が確信していたのは、残念なことに、差し迫った危機感を前にして日常習慣など無力であるということだった。
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